「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の原作とアニメの違い

ギルヴァイにドハマり中のこぼれ(@kbr_oti)ですこんにちは!(`・ω・´)
9月18日公開の劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン、最高でしたね。
ストーリーとかギルヴァイとか特典目当てに3回見に行った私です。

ちなみに私は、今回の劇場版を見て原作本の購入を決めました。
アニメと原作では設定が大分違うというのは噂で知っていたのですが、これほどのアニメです。
原作もさぞや素晴らしいだろう!と!!期待500%くらいで購入しました。

原作は神でした。

いや、アニメが神じゃないとかそういうことではありません!
あのアニメにしてこの原作ありという、もう本当に期待通り、期待以上のお話がぎゅっと詰まっていたという意味で「やばい神本だ……………(ゲンドウポーズ)」ってなりました。

そんな中で!
アニメと原作を見た私が、アニメの良さも原作の良さも知って欲しいと思い今回違いを解説していきたいと思います!

アニメ・原作共に大分のネタバレを含みます。
これから見る、もしくは読むという方はご注意ください。

目次

アニメオリジナル

アニメと原作では、内容やキャラクターが半分程度違っているなという印象です。
アニメは基本1クールですので、話数や時間が限られています。

原作とアニメの細かな内容の差違は今回語りません!
どちらもそれぞれの特性を活かした素晴らしいお話であったと思いますので、今回はアニメオリジナルキャラクターの紹介と、主要人物の大まかな設定や原作との違いに焦点を当てて紹介していきます!

アイリス・カナリー

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 より

アニメオリジナルキャラクター。
C.H郵便社に所属している新人の自動手記人形。

北東部の山村出身で、都会や働く女性に憧れてライデンに来た少女。
ライデン一の自動手記人形を目指し奮闘していますが、当初はヴァイオレットを敬遠していました。
ですがアニメ第三話の出来事を機に関係が改善し、以降、ヴァイオレットの良き同僚として最後まで活躍してくれます。

エリカ・ブラウン

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 より

アニメオリジナルキャラクター。
C.H郵便社に所属している自動手記人形。

おとなしい性格で依頼主との対話が苦手。
ですが内に秘めたる夢は輝いていて、夢中で読んだ小説のように、人の心を動かす言葉で手紙を書くこと。
理想と現実のギャップに苦悩している少女です。
良い意味でも悪い意味でも実直なヴァイオレットが、依頼主と揉めている見て『自動手記人形には向いていない』と感じる彼女。
でもそれは自分も同じだと卑屈になっていた中で、ヴァイオレットのそれでもこの仕事を続けたいという真っ直ぐな意志に、自らの夢を取り戻していきます。

C.H郵便社

ライデンシャフトリヒの軍人であったクラウディア・ホッジンズが一代で立ち上げた郵便社。
拠点はライデン。大陸各地に事業を広げる。
一般的な郵便事業が主ですが、代筆業務や外交文書の作成など、多岐に渡って活動しています。

アニメでは語られていませんが、社員のほとんどはホッジンズが引き抜いてきた者たちばかり。
自らの掲げる理念を遂行するため、戦闘地域にも行ける人材ばかりを集めており、ベネディクトからは『戦闘員採用』などと言われています。

俺はね、軍人時代にこういう郵便会社があればいいなって思ってたのをただ実現してるだけだ。
どんな戦地にも届く手紙。届けてくれるポストマン。
樹海の奥に住んでいたって望んだら来てくれる自動手記人形。
自分の金で好きなことをやって何が悪い。

引用元:ヴァオレット・エヴァーガーデン 外伝『郵便屋と自動手記人形』

主な創設メンバーは社長のホッジンズを始め、ベネディクト・ブルー、カトレア・ボートレート、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
アニメ版ではヴァイオレットは中途採用でしたが、原作では創立メンバーの一人となっています。

クラウディア・ホッジンズ

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 より

C.H郵便社の社長。ライデンシャフトリヒの元軍人。
アニメでは中佐でしたが、原作ではギルベルトと同じ士官学校時代を過ごし、同時期に少佐へ昇進。そのまま大戦を終えた後に退役しました。
裕福な商人の家に生まれた次男坊。
クラウディアという名前は、両親が『女の子が生まれてくる』という予想を立てて生前から付けられていたものであり、男児として生まれた後もそのまま名付けられてしまったため、実は一つのコンプレックスになっています。
明るく人好きのする性格。情にも厚く自然と人を呼び集めるような魅力を持っていますが、商人の家の生まれてということもあり、その行動理念は損得勘定に基づいています。

アニメ版では、第11話にて社員を戦場へ送ることを拒否していましたが、原作では『どんな危険な戦地でも手紙を届けたい』という理念があり、それに乗っ取った行動をしています。
郵便社の社員も戦闘面に特化した人材は多く、犯罪に手を染めていたライバル郵便社を社員に命じて壊滅させたことも。

アニメ版と原作の大きく設定の違うところは、ギルベルトの生存を知っていたかどうかです。

アニメ版では最後まで生存を知りませんでしたが、原作では大戦後もギルベルトと連絡を取っていました。
陸軍病院にて直接、ギルベルトからヴァイオレットの今後を頼まれており、その際「自分は死んだことにするように」とドッグタグを手渡されています。
ギルベルトのヴァイオレットに対するやり方(死の偽装)に否定的でしたが、ギルベルトがヴァイオレットに付けられた義手を見て泣いていた姿を見て、渋々ですが頼みを引き受けていました。

自動手記人形の制服は全てホッジンズが見立て、用意したものです。
カトレアの『この制服は恥ずかしい』という意見に対し、真っ向から真顔で「それがカトレアには最高に似合っている」と豪語した男(下心一切なし)

ベネディクト・ブルー

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 より

C.H郵便社に勤めているポストマン。創立メンバーの一人。
口と態度は悪いものの、根はお人好し。
アニメ版では先輩後輩としてヴァイオレットに対する面倒見の良さを発揮。ホッジンズとは会社を立ち上げる前からの付き合いなので、信頼性の高さを窺わせるシーンがいくつか登場しています。

原作ではヴァイオレットと同期ですが、初めて会ったときからずっと『なんとなく放っておけない』類の人種として刻まれており、妹分として自他ともに面倒を見ています。
『ヴィー』という愛称でヴァイオレット呼ぶのも彼だけで、二人並べば姿形も相まって兄妹同然。
別大陸では『バトル・ハングリー・フリーク(戦闘狂)』の異名を持った元傭兵という過去を持ち、傭兵界隈ではかなりの有名人。
ホッジンズがヴァイオレットの後見人となり、しかし彼女の境遇に向き合えず、エヴァーガーデン家に預けて逃げるように旅をしていた頃に偶然出会いました。

実は記憶喪失で、妹がいた、という事実だけを覚えています。
瞳の色がブルーであることから、自らを『ブルー』と名乗っていました。
紆余曲折あったのちにホッジンズに拾われ、祝福という意味で『ベネディクト』という名を貰います。
普段はホッジンズに横柄な態度を取っていますが、本心では何よりも大事な存在に想っています。

クラウディア・ホッジンズ。
いまの自分にすべてをくれた男。
無性に会いたい。
声を、顔を、思い浮かべて胸が張り裂けそうになる。
ベネディクトの人生で過去を含め、与えて守ってくれる大人はホッジンズだけだった。

引用元:ヴァオレット・エヴァーガーデン 外伝『ベネディクト・ブルー』

ヴァイオレットにとってのギルベルトは、ベネディクトにとってのホッジンズなのです。

後々C.H郵便社の支社長になります。
社内に恋人がいます。

カトレア・ボードレール

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン より

C.H郵便社に勤めている自動手記人形の女性。創立メンバーの一人。
アニメ版では人気No.1のドールとして活躍し、若手の自動手記人形である子たちの面倒を見るなど、代筆部門の良きまとめ役。
ヴァイオレットのことも大変気にかけており、彼女が一人前の自動手記人形になるまで丁寧にサポートをしていました。

原作では、喜怒哀楽の激しい、無邪気で天真爛漫な人物。
どこか性格的な幼さも孕んでおり、人との距離が近く実に人懐っこく描かれています。
可愛いものが大好き。だから自分も大好き。
女性らしい感性はアニメ版でも原作でも健在で、恋愛相談やラブレターなどの代筆が多く、女心の機微と依頼人の繊細な想いを盛り込んだ仕事ぶりは高く評価されています。

C.H郵便社おいて、ヴァイオレットやベネディクトに並ぶ戦闘要員の一人。
元拳闘士で、力で彼女に敵う者はいないほどの豪腕の持ち主。

ヴァイオレットのことは長い間、正直苦手に思っていました。
感受性豊かなカトレアに、感情を見せないヴァイオレットは得体が知れないものに見えていたのです。
同じ創立メンバー同士でしたが、ヴァイオレットの過去を知ったのは随分と後のことで、知ってからは彼女を見る目に変化が生まれ、そこそこ良い付き合いを築けるようになりました。

そこに書かれていたことはカトレアにとって全くの他人事だった。
今日ようやく話せるようになったばかりの人間の事情だ。感情移入するのにも限界がある。
――抉るような、言葉で書くかなあ。
限界があるのだが、紫水晶の瞳にはじんわりと涙の膜が張られてしまう。
今日、ヴァイオレットが自分に語ったこと。それをどんな気持ちで言ったのか、どんな思いでいままで生きてきたのかと想像を巡らせると、もう堪らなかった。

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 下『飛行手紙と自動手記人形 前編』

カトレアは、後々自動手記人形から新人の教育係に人員配置されます。
社内に恋人もできました。

ラックス・シビュラ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』公式サイト より

アニメ版には登場していませんが、原作ではC.H郵便社のメインキャラクターとして登場しています。
初登場はヴァイオレット・エヴァーガーデン 下『半神と自動手記人形』

小柄な体型で、ラベンダーグレーの髪に右目が赤、左目が金色のオッドアイを持つ少女。
クラウディア・ホッジンズ社長の秘書として郵便社に勤めており、恐らくヴァイオレットの友人第一号。親友。

貧しい孤児でしたが、とある宗教団体に『半神』として拾い崇め奉られており、シュバリエ島で団体が運営する理想郷という名の要塞で7年ほど暮らしていました。
教団に「天に返す」と称して殺されかけますが、偶然雨宿りに来ていたヴァイオレットに助けられる形でそこを脱出。
以降、ホッジンズの好意で郵便社に勤めています。

のどかにお喋りをしている私達はきっとただの女友達に見えることでしょう。元宗教団体の生け贄と元軍人とはわからないはずです。
私は自分の過去を忘れたわけではありませんが、それを抱え続ける気はありません。

(中略)

やっぱり生きるのが辛いなぁと思う日もありますが、そんな時は瞳を閉じて追憶するのです。
わたしの最低と最高が入り交じったあの瞬間を。
花に包まれた小舟の棺桶で死のうとしていたこと。
そこで泣きながら死にたくないと叫んだこと。それを助けてくれた人がいたこと。
彼女が差し出してくれた機械の腕を。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン、私の自慢の友達なのです。

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 下『半神と自動手記人形』

ホッジンズからの信頼厚く、またかなり大事に想われている敏腕秘書。
ホッジンズとのやり取りはファン必見。

エヴァーガーデン家

ブーゲンビリア家の親戚筋となる、ライデンシャフトリヒの名家。
高貴な血筋の一家で、軍上層部でもおいそれと手を出せない家柄。

終戦後もまたいつヴァイオレットが『兵器』として使われるか分からない。
ギルベルトのそんな危惧から、彼女の預け先に選んだ家。

アニメ版と原作の違いは、ヴァイオレットを家に受け入れたかどうかです。

アニメ版では後見人になってくれたものの、彼女が住む家として受け入れてはもらえませんでしたが、原作ではそこに住処として腰を下ろしています。
老夫婦から娘として扱われ、ヴァイオレットもまた、夫婦を義母・義父と呼びます。

パトリック・エヴァーガーデン

エヴァーガーデン家の当主。
気品がありつつも童心を忘れない、気さくな老紳士とはホッジンズ談。
ヴァイオレットに肩もみをしてもらって、喜びから涙を流すほど。
一人息子を大戦で亡くしており、全ての事情を把握した上でヴァイオレットを養女に向かえた。

ティファニー・エヴァーガーデン

パトリック・エヴァーガーデンの妻。
エヴァーガーデン夫人。

養女として迎えたヴァイオレットを実の娘のように扱う、穏やかでかつ芯のある老婦人。
原作では初対面にて、ヴァイオレットの機械仕掛けの手を迷わず握った。

ヴァイオレットに教養、礼儀作法、馬術、声楽、料理、刺繍、舞踏といった淑女としての嗜みを全て教えた人です。
一時期は自分たちだけが彼女に癒やされ、自分たちはヴァイオレットを癒やしてあげられないのではと悩んだ時期もありましたが、ホッジンズとのやり取りで吹っ切れる姿も。

『ヴァイオレットを手放すくらいなら夫を売り払います』と豪語するほど彼女を可愛がっており、初めて出会った頃からそれは変わりません。

ヴァイオレットの休日には彼女を着飾ることを楽しみにしており、ヴァイオレットもそれを受け入れてます。

大陸戦争

本編の四年前に勃発した大戦。

アニメ版では北方戦役や西部戦争の総称として使われ、ライデンシャフトリヒ北東部の豊富な地下資源を巡り、北の大国である『ガルダリク帝国』が越境したこと発端にした大戦。
ディートフリートがヴァイオレットを発見したのもこの北方戦役であり、原作とは少し事情が変わっています。
南部戦争は大戦末期に勃発した戦争で、それまで戦火の影響下になかったライデンシャフトリヒ西部の街・ヘルネが戦線を突破されたことにより激化の一途を辿った争いです。

原作では大陸全土に及んだ大戦の通称。
北側諸国の不当な貿易により南側が北上侵攻を開始し、それと同時にかねてより宗教問題で対立関係にあった西側と東側の宗教戦争が勃発。
元より親交深かった北と東が手を組み、それに対抗すべく西と南が同盟を組みました。
四者の戦いはインテンス最終決戦により南西側の勝利となり、北東は戦後賠償を求められています。

ヴァイオレットとギルベルトの過去

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第1話 より

アニメ版では北方戦役でディートフリートがヴァイオレットを拾い、ギルベルトに押し付けたところから話が始まります。

原作でもそれは同じですが、ディートフリートはギルベルトの昇格祝いとして彼女を持ってきました。
それまではディートフリートがヴァイオレットを使役しており、出会いは戦闘中に漂流した先の無人島。
たった一人でいた少女に、理由あれど部下を皆殺しにされたディートフリートは彼女を持て余していました。
生き残るために使役してきたものの、彼女は自分の部下を殺した殺人鬼です。
怒りと憎しみから何とか使い捨ててやろうとしていましたが、上手くいかなかったため彼は弟にそれを押し付けることに。
昇格祝いとは名ばかりのもので、ギルベルトに彼女の強さを見せるため、その場で捕らえていた罪人を五人殺させます。

結局ギルベルトは彼女を受け取らざるを得ませんでした。
自信家で他人に何かが怖いなど語ったことのない兄が、心底恐怖しているのを見て同情したからです。
ギルベルト自身も彼女を恐怖しながら持ち帰りましたが、この小さな殺人鬼をどう処理すべきかと考えた末に、自分が『使う』決断を下したのです。

ギルベルトという男は、ディートフリートと違っているようで深いところでは似ている。
物事を客観的に捕らえ、今起こっている事象を性格に判断し、最善の対処をしようとする。
少なからず非人道的な部分があったとしても、それが出来る心の冷たさは軍人向きだ。
誰にも預けられない。かと言って忘れきって置き去りにすることも出来ない『武器』をどうするかは感情を抜けば明白だった。
自分が正しく彼女を『使う』ことである。

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上『少佐と自動手記人形』

最終的にギルベルトは、彼女の存在を軍に認めさせるため非公開の実験を行いました。
彼女の脅威性の示し方は、兄が自分に演習してくれた通り。
陸軍基地内の訓練場にて、死刑囚十人と彼女を戦わせることでした。

非公開と銘打ちながらも『見世物』状態になったその演習で、彼女はギルベルトが『殺せ』と命じた通りに死刑囚十人を殺害。
その結果、ギルベルトが少佐として隊長となる、新しい遊撃部隊が設立。
ライデンシャフトリヒ陸軍は彼女を『武器』として認定し、登録名もないままギルベルトの元で扱われることになったのです。

ギルベルト自身、彼女を『使う』ことに良心の呵責を感じていましたが、それが正しいことであるとも認識していました。
彼女が化け物なのは間違いない。だけれど、少女であることも間違いない。
葛藤の末出た結論は、彼女を立派な軍人に育てあげること。
そのために、ギルベルトは言葉の分からない少女に、自分の気持ちを正直に打ち明けます。

自分は君を利用しているということ。
君も、努力して自分を利用するようになること。
そういう形でしか、自分は君を守れないということ。

君が、自分の知らない所で誰かを殺すのが怖いこと。
時間が掛かってもいいから、自分がどうしてそれを怖がるのか理解して欲しいということ。
同じ価値観を抱けるようになって欲しいこと。
そうすれば、きっと『道具』以外の何か違う者になれること。
自分の居場所を見つけて生きて欲しいこと。

暗い寝台の上で、ギルベルトは真摯にそれを伝えました。
そうしてギルベルトは、彼女にようやく名前を付けます。

「君の名前は、ヴァイオレットに決めた。そう名乗りなさい。神話に出てくる、花の名の女神だ。きっと、成長すれば……君はその名がふさわしい女性になる。いいかい、ヴァイオレット。『道具』ではなく、『ヴァイオレット』になるんだ。その名が似合う、女性になるんだよ」

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上『少佐と自動手記人形』
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第9話 より

ギルベルトはヴァイオレットに生活の術と言葉を教えます。
軍隊にいる中で、彼女に無体な真似を働こうとする輩もいますが、全て死体となって帰ってきました。
結果、彼女の身の回りのことは女性士官とギルベルトが行うようになり、ヴァイオレット自身もすっかりギルベルト以外とは意思疎通を図らないように成長してしまいます。

前線の一兵士としてはあまりにも並外れたその戦いぶりは、敵味方の双方から『ライデンシャフトリヒの戦乙女』『ライデンシャフトリヒの戦闘人形』などといった二つ名で呼ばれるようになりました。
原作でヴァイオレットが主武器として使用していたのは、人の背丈ほどもある巨大な戦斧。
『ウィッチクラフト』と名付けられたそれは、ヴァイオレットのために軍部が特注で製作した唯一無二の武器であり、高い殺傷能力を誇ります。
攻防一体となったその武器で戦場を駆け抜け、郵便社に勤めるようになってからもホッジンズの許可の元使用することもしばしば。


ヴァイオレットが欲しがるのはギルベルトの命令と人殺しの武器だけ。
いくら忙しい日々とはいえ、これではあまりにもと思ったギルベルトはある日彼女を街へと連れて行きました。

出店が並ぶ中で、ヴァイオレットはエメラルドのブローチに目を奪われます。
アニメ版でもあったように、「少佐の瞳があります」と語った彼女ですが、その光景にギルベルトは愕然としてしまいました。
彼女は『美しい』という単語を知らなかったのです。
言葉を教えたのはギルベルト。日常会話も軍事用語も問題ない。
それなのに、そんな簡単な言葉を自分は彼女に教えていなかった。

――君は、どうして、そこで。
私の瞳を『美しい』と言う。
心など無いような娘なのに。心など育ててやれなかった男を慕う。
そんなことを言われる資格は。
――私には、無いのに。

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上『少佐と自動手記人形』

戦局が変わったのはその数日後でした。
大戦の終わりを告げたその決戦で、ギルベルトは片目と片腕を、ヴァイオレットは両腕を失います。

ギルベルトのために、両腕が千切れてもなお戦い続けるヴァイオレットを見て、ギルベルトは彼女に『愛してる』を告げました。

愛してる。
死なせたくない。
生きてくれ。

そう息も絶え絶えに告げるギルベルトを前に、ヴァイオレットは心底分からないという声で呟きます。

「あいって、なんですか」

それは、本当の意味での質問だった。
――嗚呼、そうだ。
ギルベルトの心が、体よりも痛みを訴える。
――知らない。知るわけがない。
言っていないのだから。そして彼女は自分以外からも言われたことがないのだから。
『学習』していない。
――愛なんて、知らないのだ。
ギルベルトは、そこでまた大粒の涙を流した。

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上『少佐と自動手記人形』

ギルベルトはそこで『愛』が何かを説明します。
だがヴァイオレットは分かりません。

次に意識を浮上させた先には、唯一無二の親友がいました。
ヴァイオレットが死んでいるなら自分も殺してくれと言うギルベルトに、ホッジンズは彼女の状態を語ります。

両腕に義手がついているヴァイオレットを見て、ギルベルトはまた涙を零しました。
そうしてギルベルトは、親友に彼女を託すことにしたのです。

ブーゲンビリア家

ライデンシャフトリヒ建国当時から、長く続く由緒正しき家。
国の英雄と崇められる祖先を持つ一家であり、生まれた子供たちは祖先の栄光の元、当然のように軍隊入りするのが慣例。

現在は二十六代目。
二十六代目当主はギルベルト・ブーゲンビリア。

ディートフリート・ブーゲンビリア

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン より

ライデンシャフトリヒ海軍大佐であり、陸軍軍人を輩出する名門ブーゲンビリア家の長男。
だがこの家系を伝統とする窮屈な家を嫌って、出奔同然で海軍に入隊する。
家とは絶縁状態だが、弟であるギルベルトのみと連絡を取っている。
原作では終戦後も親交があり、ギルベルトが生きていることをヴァイオレットに意図せずバラした張本人。

生粋のブラコンと思われがちだが、原作では弟への愛に狂っているといっても過言ではない。
基本、二言目には弟への愛を囁く。ギルベルトを最愛だと豪語し、愛する弟の人生をぶち壊したとヴァイオレットにきつく当たる。

ヴァイオレットの元主。出会ったのは偶然だが、その偶然が彼の中で史上最悪の出来事となっており、部下を皆殺しにされたことを今でも恨みに思っている。
だがそれはヴァイオレットに対する恐怖の現れでもあり、心底彼女を恐れている現実を、ギルベルトに同情されている。

アニメ版では第12・13話にてヴァイオレットと再会、かつ和解にまで至る。
ライデンシャフトリヒとガルダリク帝国が和平書簡を交わすストーリーですが、こちらはアニメオリジナルとなっています。

母と妹たち

アニメ版ではブーゲンビリア夫人が登場。
原作では存在だけを示唆されており、いまだご存命。
ディートフリートとギルベルトの他にも、ユリア、ヘンリエタ、ダイアンという名の妹が存在する。


ユリア・ブーゲンビリアに関しては原作に登場済で、名家にふさわしい女性像で描かれています。
ギルベルトの上官であったローラス・シュヴァルツマン大佐と、お付き合いののち結婚。
兄の恋人であるヴァイオレットの存在もかすかに知っており、自分の結婚式に出席してほしいと望んでいる。

ギルベルト・ブーゲンビリア

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第8話 より

アニメ版では未帰還者扱いとなっているが、劇場版にてようやくその存在が明言。
優秀な軍人だが冷酷になり切れない部分を持つ、ヴァイオレットに対し心の優しい主として描かれています。

アニメと原作で最も設定が違うキャラクター。

原作ではヴァイオレットをホッジンズに預けた後、自らの死を偽装した上で陸軍に留まりました。
自分の全てを持って陸軍の頂を目指し、現在は陸軍大佐に昇進しています。
その意図は、二度とヴァイオレットが戦争で利用されないため。

何かやりたいことがあるなど、ホッジンズのように夢を語ることは一度としてない男だった。敷かれた細長い道を黙って、静かに、器用に歩いてきた。
ここに来て、初めてギルベルトはその道を壊している。
ヴァイオレットを軍から切り離すことは言葉で語るよりそう簡単なことではない。彼が今まで培った人脈や功績を尽くしても足りない。永続的にその状態を続けるのであれば、ギルベルトは更なる高みへと自分を持って行かなくてはならないだろう。
三角形の階層の頂点へ、誰にも文句を言わせない頂まで。もう無敵の道具は居ない。

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 下『少女兵と彼女のすべて』

ヴァイオレットを軍から切り離すことに同意し、かつ死の偽装を手伝ったホッジンズですが、心情的にヴァイオレットの味方をしたい彼はギルベルトのやり方に反発。
手伝いはしたものの、考え方を改め直せと突き放された形で喧嘩別れとなっていました。

転機が起きたのは、大陸横断蒸気機関車の完成時。
和平の証として北と南を繋ぐ公共交通機関の完成に、賛同しない組織がハイジャックをした事件です。
ちょうどその機関車にはヴァイオレットが乗車しており、ギルベルトは彼女を助けるために自分の部隊を派遣。

自らもそれに乗り込み、かつ上層部の意見を無視して駅を爆破させるという過激っぷり。

愛の特攻隊長……すごいよ陸軍大佐……

その際にホッジンズと和解。
ヴァイオレットとも再会し、二人は晴れて気持ちを確かめ合い、恋人同士になるのでした。

恋人同士になってからは、たまの休日を合わせてデートをしています。
ヴァイオレットが自らの人生をギルベルトに捧げているように、ギルベルトも自分の人生をすべて彼女に捧げている様子が描かれています。
厳格な家に生まれ、決まりきった道しか歩けなかった彼ですが、自分のためでも家のためでもなく、ヴァイオレットのために人生を駆け抜けている姿が圧巻。

君を傍に置いてから、私は、私の人生は、随分と壊れてしまったけれど。
三角の頂点を目指す以外の生きる意味ができた。
ヴァイオレット。
君は、私のすべてになった。すべてだ。ブーゲンビリアの家は関係ない。

(中略)

とても珍しいことなんだ。私は好きなものはとても少ないんだ。
実は嫌いなものの方が多い。
言ってないだけで、世界も、人生も、好きではない。
国を守ってはいるが、本当は世界など好きではないんだ。
好きなものは、一人の親友と、どうしようもなく捻じれた家族と。
そして君。
ヴァイオレット、君だけだ。

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 下『少女兵と彼女のすべて』

人生をかけて、一人の女を愛する。
そして真実守っている強い男の姿が、原作を通して描かれています。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン

柔らかに編み込まれ、ダークレッドのリボンで飾られた金糸の髪と、海の底の輝きを秘めた青い瞳を持つ、とりまく人や時も自然と息すら潜めてしまうほどの美しさをたたえた少女。
取り付けられた義手は戦闘特化の仕様で、機能性を損ねていない優れた逸品。
トロリーバッグは見た目に違わず重量もかなりのもので、屈強な体格の男でさえもつんのめるほどの重さ。
それを片手で平然と持つヴァイオレットですが、中身は半分が仕事道具で半分が武器。
自身の身体にもいくつもの武器を隠し持っており、ベネディクトに二輪車に乗せるのを嫌がられるほど。
給料は全て武器の購入費に充てており、最新で購入したものは長距離射撃銃。本当は大振りのメイスが欲しかった。

ディートフリートに拾われるまでの記憶がなく、とある無人島(アニメ版では地域不明)に一人でいた。

自身の感情を上手く理解できず、またその感情が自分に生じているのかもわかっていない。
アニメ版では自動手記人形として成長していく中で、喜びや悲しみなど様々な感情を身に着けていきます。同時に表情も豊かになっていくのですが、原作ではまだまだ難しいと周囲も認識しています。
唯一ギルベルトの前では微笑むことが増え、彼とベネディクトの間でちょっとした口論になることも。

アニメ版では、自動手記人形の仕事を始めた当初、軍人気質が抜けずに報告書のような文章しか起こせなかったものの、自動手記人形養成学校での教育や、ほかのドールたちの仕事に同伴した経験などを積み重ねて成長する姿が描かれています。

原作では終戦時点で文字の読み書きができず、ホッジンズが教師役としてそれらを教えていました。
文字が書けるようになった後は、エヴァーガーデン家の養女になったあともギルベルトに向けて手紙を書いており、それはいつまでも続いています。

原作では、ギルベルトと再会した後『人間』になっていく様を鮮やかに描かれています。
ギルベルトのみならず、特にホッジンズの前でも感情を出すことが増え、大事なものが増えてきた様子がわかります。
創立時からの同僚だったベネディクトやカトレアの部署移動に戸惑ったり、ブーゲンビリア家に相応しい自分でいられるだろうかと不安を覚えたり、『獣』や『道具』でなくなったとヴァイオレット自身が自覚。『人』になった自分を恥じる様になんとも胸が締め付けられます。

人になるとは、なんと、大変なことなのでしょう。
道具で居た頃は、考えもしませんでした。
人は、人間は、幸せというものを追う生き物なのだなと。
まるで硝子の向こうの世界を見るように思っていた私は、何処へ。
貴方が、時間をかけて、愛してくださったこと。
それが、私を、人に。
少女に。
愛してもらえる、「私」にしてくれた。

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン エバーアフター『親愛なる貴方と自動手記人形』

人間になった彼女は、自動手記人形としてずっと誰かの想いを届けるでしょう。
アニメ版第10話「少女と自動手記人形」
アン・マグノリアの母親が、娘のために50年分の手紙の代筆を依頼した話があります。
原作には少し続きがあり、そこを抜粋して紹介させてもらいます。

「誕生日おめでとうございます。奥様」
暗褐色の瞳を、少し潤ませて彼女は答える。
「ありがとう」
そして、ずっとずっと聞いてみたかったことをついに尋ねてみる。
「ねぇ、ヴァイオレット・エヴァーガーデンを知っている?」
郵便屋と代筆屋は密接な関係を持っている。もしかしたらと、心臓をどきどきと鳴らしながら聞いたアンに、ポストマンは笑顔のまま答えた。
「ええ、有名ですから。まだまだ現役ですよ」

引用元:ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上『少女と自動手記人形』

アンが結婚し、その子どもが大きくなってもまだ、ヴァイオレットが自動手記人形の仕事をしているということがわかるシーンです。
ざっと計算しても二十年以上、彼女は自動手記人形として活躍しているんですね。
とてつもなく感慨深くて、読み直したのちに涙が出るシーンでした。

以上が、アニメと原作の大まかな違いになります。
アニメ、原作共に素晴らしいので、機会があればぜひ見てみてください!

原作本の購入はどこで?

2020年9月現在、ヴァイオレット・エバーガーデンの原作四巻は品薄状態になっています。
手に入れたいと言う方は、今すぐ通販ショップを確認しましょう!

※10月26日より通販再開だそうです!

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